皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
こんな時はどうしたらいいのかわからない。



父上と宰相のアレンも駆けつけ、ヒナのキズが消えたことにホッとしているが、父上はなんとも言えない顔。



「アリスが拐われました」

「犯人は?」

「北のなまりがあったと。予想ですが…バルジャではないでしょうか」

「一概にそう判断するのは早い。何も要求がない限り、決めつけるのは危険を伴う」

「父上、一生のお願いがあります」

「なんだ」

「俺をアリスの元に飛ばしてください」

「…………移動中では難しい。それに、近くならばその者の所へ飛ぶことはできるが、距離があり、場所も定かではない今は難しいのだ」



どうしたらいい?



俺は…アリスを助けに行かなければ…。



「リューク、ジェードを連れて私の部屋へ」

「はい…」



無事でいてくれ、アリス…。



絶対見つけ出して、絶対助けてやるから。



「リューク、魔力の回復をするわ」

「大丈夫です、母上…」

「ふたりも抱えて飛ぶことなんて、滅多にしないでしょう?黙って癒されなさい」

「はい…」



手が…震える…。



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