皇子に嫁いだけど、皇子は女嫌いでした
心臓が痛いくらいバクバクと音を立てている。



腹の中が…気持ち悪い。



「使いを送りました。ヒナは大丈夫でしょうか…」

「母上が治してくれた。ジェード、父上に呼ばれた」

「お供します」



ジェードと一緒に父上の部屋。



アレンもいて、この国の最重要機密会議。



「仮にバルジャがアリスを拐ったとすると、行き先は北の港」

「警備をお願いします」

「各地に検問を配置するが、期待はするな。この城に忍び込むことができるほどの手練れならば、検問にもかからないかもしれない」

「そんな…」

「ジェード、裏で動けるか?」



裏…?



ジェードはチラリと俺を見てから、迷いなく頷いた。



なんだよ、裏って…。



「すぐに行動に移してもよろしいでしょうか。時間が経つとアリス様の匂いが薄まってしまいます」

「ハーフを数人連れて行くといい」

「はい。生け捕りですか?」

「あぁ、絶対だ」

「かしこまりました。殿下、アリス様を…すぐにお連れします」



何言ってるんだ、ジェード…。



今から捜索するんだろ…?



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