先輩の彼女

「うっ……ううっ……」

運転手さんに泣いているのを気づかれないように、必死に口許を手で押さえた。




なんで、絹花なの？

なんで、間野さんの相手が、絹花なの？


絹花なんて、付き合えれば誰だっていいのに。

すぐに、男なんて飽きたって言って、そしてまた新しい男を捕まえる女なのに。


どうして？

どうして？

どうして……


間野さんが、結婚を考えた相手が、絹花なの？


でもその答えは、私自身知っている。

絹花は、綺麗で明るくて、誰にでも好かれる。


大学生の時も、私の好きな人は、絹花と付き合った。

いつの時代も、愛されるのは絹花で。

選ばれないのは、私。









それは、ずっと変わらないんだ。