人魚の涙〜マーメイド・ティア〜



んだよ!!蓮のバカ野郎!!


俺だけかよ!お前のこと本気で心配して曲がりもんなりにも友達だって思ってたのは!!


ふと親父さんの言葉が俺の頭を過ぎった



『…君は、蓮のお友達かい?』



親父さん、どうやら蓮の中では違うらしい


なんでかわかんないけど俺はすごく悲しくて何もする気がなくなった。



それから蓮の病室には顔を出さず口も聞かず、連絡も取らずに

半年経った。



蓮も完治して学校には来るようになったけどお互いがお互いを避けるようにして合わない日々が続いた



そろそろ高校進学のために三年生たちは動き出すけど、蓮はどこの高校行くのかな?そもそもあいつ進学するのかな?



…って俺何考えてんだよ。



あいつのこと気にしたってもう関わる気なんてないんだから。


そう決意しても心は簡単に揺らぐ。


俺はあの時ジュンとアキトに裏切られて懲りてなかったのか?そんなに簡単に人を信用して裏切られる辛さを俺は忘れてしまったのか?



…蓮は違う。そんなのはわかってる、あの時助けてくれたのも喧嘩の仕方を教えてくれたのも、全部、全部…



そういえば最近一緒に行動してないせいか喧嘩もしてないし、売られることもなくなった



ー…ガンッ!!!



そんなことを呑気に考えていたら急に後頭部に激痛が走って、地面に近づく映像を最後に俺の記憶は途切れた



…いてぇ、頭が割れるようにいてぇ


そう思って閉じていた目を開けると冷たいコンクリートの上で寝転がっていた



「あれ…。なんで俺こんなとこにいるんだっけ?」


「お~、やっと起きたかい、早見さんよぉ~。」



声がした方を見ると、あの日、蓮が病院に運ばれた日に場所を教えてくれて俺が踏みつけにした奴が立っていた



「…んだよ~、またお前かよ。今度は俺になんの用~?」



あ~クソだるい。こいつ何回俺に絡んでくるんだよってくらいだるい



「この前のお返しさせてもらおうと思って。」



その言葉を合図になんか周りからゾロゾロと人が出てきて30人前後は確認できる



「あ~、この前ね。てか、半年も前のこと根に持ってるの~?そんなネチッコイ男はモテないぞ~」



ま、この数に俺一人で勝てるわけないわな。


そんなことはわかった上で挑発する



「…いい度胸じゃねぇか!その強気がいつまで続くか見ものだぜ!!」



そんな捨てゼリフを合図に周りが俺に向かって走ってくる


うわぁ、これはほんとに俺やばいわ。


今回は俺、タダじゃ済まないわ。


あ~詰んだ、死んだ。絶対病院送りになってるわ。


そんなことを冷静に考えながら次々と相手を殴り倒していく



でも最初に頭に一撃食らってるせいか足元がどんどんふらついて来た



「おらぁぁぁ!!」


「いまだ!やれぇぇぇ!」


ふらついた俺を見逃してくれるわけもなく相手は一斉にこの機を逃すなばりに襲いかかって来る


あ~。もう限界。どうにでもなれ


そう思って抵抗を辞めた


次から次にきっと来るであろう衝撃に耐えようと目を瞑って身構えるけど来なかった



…?



不思議に思い目を開けるとそこにいたのはやっぱり



「よぉ、久しぶりにど派手にやってんじゃねぇか。」



蓮がいた



「…何しに来たんだよ。」


「喧嘩の匂いがしたから来たんだよ。」


「野犬かよ」


「ハッ、お前俺を馬鹿にしてんだろ?」


「してるけど~?」


「上等だ、へばんじゃねぇーぞ。これ終わったら次はてめぇの番だ、奏多。」


「…いいよ。やってやんよ」



俺たちは背中を合わせて次々相手をぶっ倒していった



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