人魚の涙〜マーメイド・ティア〜



「あー!!終わった!」


全ての喧嘩を終わらせて俺はもう限界!そのままそこに寝そべる



「おい、まだ俺との勝負終わってねぇだろ!」


「いや、馬鹿なの?今俺が頭から血出てるの見えてる?」


「…るかった」


「え?なんていったの?」


「んだから!!!!悪かったって言ってんだろ!!!」


「…は?」



蓮がいきなり謝るもんだから素っ頓狂な声がでた


絶対こいつは自分が悪いことでも謝ることを基本的にしない奴だった


多分悪いって思っても謝り方がわかんなかったんだと思う


顔はいつもしまったって顔してるくせにごめんが言えない。そんなやつだった


そういえばあの日、病室を飛び出した日も最後に映った顔はそんな表情をしてた気がする


なんでもっと早く俺から謝りに行かなかったんだろう



「…俺のほうこそ、ごめん。」


「なんでお前が謝んだよ。」


「聞かれたくないことは誰にだってあるのに、無神経に聞きすぎた、だからごめん。」



あの日、蓮は負けを認めたくなくてもしかして連絡してこなかったのでは?本当は危険すぎて俺を呼べなかったのでは?


とか今では冷静に考えることが出来る



「別に…、あん時はいろいろあって…。そーいや、お前俺のオヤジに会ったんだな。」


「え。」


「お前だって俺に隠し事あんじゃねぇーか。」


「いや、それは親父さんが会ったその日以来会いに来なかったから何となく黙ってただけ。」


「そういうとこ気が使えるなら、俺にも使えや。会ったぞ、オヤジに。」



蓮の発言にびっくりして痛む体を起こす



「入院してリハビリに移った時くらいに会いに来た。」


「なんか話ししたのか?」


「まぁな。俺、高校隣町のとこに行くわ。」



蓮の話はコロコロと変わっていくのに頭がついていくのに必死だ



「は!?どこだよ!いつ決めたんだよ!」



俺の質問攻めにも蓮は軽く答える



「オヤジと話した時だな。隣町の神田川高校に行く。それになぁ、向こうにはほんとに強ぇ奴がいんだよ。」


「え!お前いつの間に向こう側行ったんだよ」


「お前がへそ曲げて俺に話しかけてこねぇから一人でいったわ。そんでめちゃくちゃ強ぇ奴に会った。絶対あいつに勝つぜ俺は。」



そう話す蓮の目はとてもキラキラしていてあの時の冷たさはどこかに消えていた。


そうか、きっと蓮がちゃんと笑えるようになったのは親父さんのおかげとその強い奴のおかげだな



「そっか…、よかったよちゃんと蓮が前に進めてて。」


「ハッ、お前に心配されるまでもねぇわ。お節介野郎。」



そう言い合って笑い転げた


こんな風に蓮とまた肩を並べて戦えて笑い合える日が来るなんて夢見たいだ。


今度またすれ違った時、その時は。


俺も逃げずにちゃんと向き合おうと思った。


まだ話してくれてない、あの日の出来事を蓮がいつか話してくれるその日まで。




俺は蓮の傍にいよう。


そう俺は心の中に誓った


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