御曹司に身分違いの恋をしました。


3月とは言え
日陰はまだ肌寒い
風邪を引くんじゃない?
あっ!私には関係ないか!さっさと帰ろうと
向きを変えた時だった。


「ウッ」と唸り声が聞こえた気がした。


さっきの老人?
そっか!寝てるにしては体制が少し変かも。


苦しんでいるように見えた。


「だ・大丈夫ですか?」


「ーーーーー」返答なし。


救急車呼ばなきゃ!
でも救急車を呼んで到着するまでには
ベリーヶ丘内の病院に搬送できる
一刻を争う時だったら。。。


「おじいちゃん大丈夫ですか?
動けます?」


「ーーーーー」返答なし。


やっぱり救急車呼ぼう!
この状況は動かすとやばいかも
携帯を鞄から取り出した時


「だ・・・い・・・じょう・・・ぶだ」


おじいさんの苦しそうな声が聞こえた。


意識があると判断
意識あるなら!


「背中に乗ってください」


老人とは言え体格がいいから
軽く70キロはありそう。


でも私は火事場の馬鹿力
背負って無我夢中で
病院へと運んだのだった。


「すみません この人
公園で倒れてたんです」


すると看護婦達が
老人を見て「大変だわ」と大慌て


ーーー何者?この人ーーー


スタッフが集まりタンカーを用意
バタバタとするなか
「あなたはそこで待っててください
事情をお聞きするので」
と言われ「話すことはないので
ただ倒れてたから運んだだけなので」
と説明するが
「とにかくそこで待っててください」
と強く言われ動けず時が過ぎるのを待った。


20分後看護師から
「医院長がお話があるそうです」
と医院長室へと。。。


「いえ!あたしはこの人の身内ではないので
ただの通りすがりのものなので」


「それはわかってますわ
身内の方ならそんな格好・・・あっ
失礼なこと言いました」


上から下まで目線を通された
そりゃ わたしの格好はバイト帰りで
油の跳ね返りがTシャツの襟に飛んで
シミになってるような服を着ているし
貧乏だし。。。


その老人はこの病院の前医院長だと知ったのは
その数分後のことだった。


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