夏樹と空の恋物語

「幸喜ちょっと重くなったね」

 幸喜にミルクをあげながら夏樹が言った。

「そうね、体重もちょっとずつ増えているもの」

「そうだね。ねぇ空、幸喜はね。空のお母さんのまれ変わりなんだよ」

「え? 本当? 」

「うん。もう、前世の記憶なんてすっかり消えちゃっているけど。幸喜のハートは覚えているからね。もう一度、空に会いたくて来てくれたんだよ」

「お母さんが…今度は、私の子供になったのね」


「男の子として来てくれたのは、空の事を護る為だって教えてくれたよ」

「そう…。じゃあ、世界一の幸せ者にしてげなくちゃね」


 小さな口で哺乳瓶を加えて懸命にミルクを飲んでいる幸喜。

 母乳では足らずミルクも併用している幸喜。


 お腹いっぱいになって眠ってしまった幸喜を、夏樹はそっとベビーベッドに寝かせた。


「ねぇ夏樹さん。幸喜が生まれたとき、確か「久しぶり」って言ってたわよね? 」

「うん、言ったよ」


「あれは、ずっと私の後ろにお母さんを見ていたからそう言ったの? 」

「うん。でも本当は、空のお腹の中に幸喜がいる時からずっと判っていたんだ。幸喜が「今度は一緒に幸せになりたいから」って言ってたから。幸喜の後ろにずっと、空のお母さんが見えてたしね。でも、出産が近くなると、だんだんとお母さんの姿は見えなくなっていたよ」

「そうだったの。なんだかすごいわね、見えないものが見えるって」

「すごいとか、そんなことは思ったことないよ。ただ、僕はたまたま見えるだけだから」


 夏樹はそっと空を抱きしめた。


「空。僕と出会ってくれて、本当に有難う」

「私こそ…。夏樹さんに出会えたから、今こうして幸せになれたの。感謝しているわ」

< 55 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop