鬼の目にも慕情
「小澤!任務だ。5分で準備しろ」
「はい!」
5分?初めて聞いたぞ、そんな短い時間制限。もう少しくれたっていいだろ。
たった5分で準備なんて…。さっき出勤したばっかりなのに。
なんて、反抗してもやられるだけだから、着替えるけどさ!

急いで荷物を置いて、警護服に着替える。
脱いだ服なんか畳んでいられない。
と思うけど、いつロッカーチェックが入るかわからないからいつでも綺麗にしておかないと。
「あー、落ちた」
一度脱いだジャケットから財布が落ちるけど気にしていたら間に合わない。あとからまとめて片付けるから、ちょっとの間そこで大人しくしててくれ。
スーツの下に薄い防刃チョッキを仕込み、無線をズボンに引っ掛ける。よし。
「柿原隊長!支度終わりました!」
「遅せーぞ。おい、なんだその格好は!シャツが出てるだろ!やり直し」
「すいません!」
やり直しかよ。後ろを確認したら、少しズボンからシャツの裾が覗いていた。
たったこれだけ!結局時間かかるんなら、最初から10分くれればよかったのに。5分でできる準備何てこんなもんだって。

あわててシャツをズボンの中に押し込む。
はあ。これじゃ訓練生の時と何も変わってないな。
見てろよ。ぎゃふんと言わせてやるからな。
「急げ!」
「はい!」
絶対に!ぎゃふんと言わせてやるからな!
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