コーヒーのお味はいかが?
「ねぇ、結可。看護師の仕事が嫌になったわけじゃないんでしょ?」

「どうだろう」


曖昧な笑みで、あたしは誤魔化す。


「あたしは、信じてるよ。結可がまた、戻ってくるって」

「どうしたの、怖い顔して」

「だって、何か悔しいんだもん」


そう言って、理緒は瞳を潤ませる。

変わってないなぁ。

普段の理緒はサバサバしてて、しっかり者だ。

でもアルコールが入ると熱くなり、よく泣いていた。


「ありがとう、理緒」


あたしの言葉に、理緒は更に号泣する。


「ほら、飲も」

「結可、飲まないじゃん」

「細かいことは良いの!」


そう言って、あたしはウーロン茶を飲み干す。

それに続き、理緒もグラスを空にした。

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