氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「へえ。そっか」

 拒絶されているのに口角をあげる、先輩。

 ひょっとして、すごくヤバい人なんじゃ……。

「氷河とは。どこまでいったの」
「わたしのハナシ聞いてました?」
「別に付き合ってなくても。できるじゃん。その身ひとつで」
「クズですか」
「ふーん。意外にガード固いんだね?」
「普通です。だいたい、そういう雰囲気になるわけないじゃないですか」

 当麻氷河の席に目を向けると、姿がない。

 もしや……逃げたな?

 面倒くさそうな先輩がきたから。

 追い払ってよ!

「そうだよねー。うん。わかってた」
「……なにがです?」
「たしかに君は可愛い。クラスの男子は放っておかないだろう。愛されてそうだよね。でも、氷河を落とすのは無理だ」
「は?」
「アイツをその気にさせられない。君じゃ」

 高いところからそんなことを言って見下ろしてくる、成澤。

「氷河は、超一途なヤツだから」

 ーーいちず?

「アイツ好きな人いるの?」
「気になるかい?」
「……っ、別に。どうでもいいです」
「はは。強がっちゃって」
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