氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「こっち来て。依里奈」

 アイツの座るソファに呼ばれて腰かける

「どれだけ……好きなの?」
「ふとしたときに。お前のこと考えてる」
「そんなの、わたしだって――」
「一緒にすんな」

 頭のうしろに手を回され、

「俺の方が考えてる」

 子供みたいなこといってキスしてきた。

「……わたしの方が、」
「いいや。間違いなく俺だ」

 なんなのこの張り合い。

 なんの確信だ。

 そっちこそわたしの【好き】舐めてない?

 意味わかんない。

「毎晩。眠るとき隣にお前がいればいいのにと思う」
「へ」
「お前抱き締めて寝たい」
「……!?」
「そんで。たくさん俺の名前、呼んで欲しい」
「……っ」
「なんだよこの服」

 一晩悩んで考えたコーディネートを、

「かわいくない?」
「無理」

 無理とか言うな。

「お気に入りなのに」
「脳裏に焼き付く」
「のうり……に?」
「可愛すぎて」

 ……っ!?

「わ、」

 たくましい腕で、抱き寄せられる。
< 342 / 617 >

この作品をシェア

pagetop