氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「くーくーりー!」
「やだな、先生。鬼みたいになってる。首切られちゃうよー?」
「くだらないこと言ってないではやく書け」
「放課後わたしを残した理由って、そんなこと?」
「そんなこと……だと?」
「まだ一年なのに。今から将来のことハッキリ決めなきゃないの?。不明なら不明って書いて出してもいいよね?」
「しかしだな。模試の判定にも必要になってくる――」
「あ、決めました。先生」
「おお。本当か?」

 井上の顔に安堵が浮かぶ。

「先生の愛人」
「ハァア!?」
「年上好きなんです。わたし」
「なにを……」
「立候補していいですか? 尽くしますから。ホントは希望調査なんて口実で。わたしと二人きりになりたかったんじゃないですか?」
「な……」
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