氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「は!?」
「カナダに住んでたこと聞いてるんだ?」
「そっ……それは。友達が。言ってたから」
「ふーん?」
「英語ペラペラらしい。とか」

 話してくれなかったけど。

「ペラペラだよ?」
「……へえ」

 成澤は、わたしの知らない当麻氷河のこと知ってるんだよね。

「SNSだと。英語のつぶやきに、英語で反応してたりするしね」
「そうなんだ。SNS……」

 ――待って

「してるの? アイツが……」

 日常をネットに晒してるの?

 文章とか写真で。

 どんなことつぶやいてるんだろう。

「気になる?」

 顔を覗いてくる、成澤。

「近っ……」
「知りたい?」

 両手首を捕まれる。

「なに、を」
「氷河のアカウント」

 ーー知りたい、けど

「SNSとか。してないし」
「誰でも見られるよ」
「えっ……、そうなの?」

 だったら覗いてみたい。けど。

 それを成澤に言うのは、嫌だ……!!

「ほんと可愛いなあ、エリナちゃん」

 言わずとも気持ちをすべて悟られていそうなのが、すごく嫌だ。

「今度デートしよ」
「そういうの。わたしに言わなくていいから」
「君だから言うんだよー?」
「うそつけ」
「俺じゃなくて氷河に迫られたいのか」

 アイツがアンタみたいなことしてくるかよ。

「……離して」
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