氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「アカウント。知りたいんでしょ?」
「……っ」
「教えてあげるから。じっとしてて」

 こんな手、簡単に振り払えたらいいのに。

「そうそう」

 振りほどけない。

「氷河のアカウント名は――」

 耳元に成澤の口が近づいて、囁きに意識を集中させた、そのとき。

「ナリさん」

 成澤の腕をつかんだのは、アイツだった。
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