氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
野田(のだ)くん」

 昼休み。

 ご飯を食べたあとにクラスイチのガリ勉くんに声をかける理由は、一つしかない。

「あのね。数学の課題見せて欲しいんだけど」
「いいよ」

 そう言ってくれると思ってた。
 恩に着る。

「いつもごめんね。ありがとう」

 野田のノートを借りようと差し出した手を、

「纐纈さん」

 誰かに、掴まれた。

「教えようか」
「……当麻氷河」

 野田に借りたほうが、ラクで。

 余った時間に髪のセットもメイクもできちゃう。

「どうする」

 なのに――……

「意味わかんない」
「どこ?」
「……どこかわかんない」
「致命的だな」

 来てしまったよ、アイツと図書室に。
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