氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「もう丸写しする」
「それじゃ次のテストは赤点だな」
「うぅ」
「とにかくまずは。公式覚えろ」
「どの?」
「全部」
「ムリぃ……」

 記号を見ていると拒否反応が出る。

「よく入試受かったな」
「奇跡としか言えない」

 呑み込みも悪ければ時間もないので、当麻氷河の解答を写していく。

 やや達筆だけど、読みやすい。

「進路調査希望。出したのか?」

 なんで今そんな話をするの。

 すっかり忘れていたし、忘れたままでいいのに。

「まだだけど」

 嫌なものを思い出した。

「なら。井上は、おかんむりか」
「さあ。あれからなんにも言ってこないよ。やっぱり今の時期の調査なんてそんな重要でもなかったんじゃん」
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