あなたの隣にいてもいいですか
「いつも、茉実ちゃんが帰るとき、連れて帰りたくなるのを抑えるのが大変なんだ。毎回葛藤してる。嫌われたくなくて、ずっと強引なこともできなかった。茉実ちゃんが俺と一緒に過ごす時間を大切にしたいって思ってくれてるなら一日だけでいいから、一緒に過ごそう。せっかくだから、普段行けないところ、遠出してさ。茉実ちゃんと一緒に出かけたい」

「海でも、山でも、観光でもいいし。温泉は・・・まだちょっと暑いから厳しいかもしれないけど。茉実ちゃんの好きなところでいいからさ。」

「・・・」

返事ができないでいる私をふわりと抱きしめてきて「茉実ちゃん、好きだよ」と耳元で小さく呟くのを聞いて、私だって、大好きだ、心の中で思う。

りえちゃんと別れていることは分かっている。だけど、りえちゃんが知ったら、傷つけることは間違いない。

翌日、大雅君から、京都の旅館、予約したよ、とメッセージがきた。

このまま大雅君が留学してしまったら、お互い好き合っていることは確認しながらも、曖昧なまま、離れてしまうことになるだろう。これからどうしたいのか、私も旅行までに気持ちの整理をして大雅君としっかり話すのもいいかもしれない、と思い直し、旅行、楽しみだね、と返信した。

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