独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
雨に打たれて

抜けるような青空のもと、樹先生の運転する車が高速道路をひた走る。

待ちに待った夏季休暇。初日の今日は、夏らしいデートがしたいという私の希望に沿って、横浜(よこはま)の水族館に向かっている。

都内にも水族館はあるけれど、「海に近いほうが夏らしくていいだろ?」と言ってくれたのだ。

運転する姿を見るのは今回で二度目。バックミラーをチラリと確認する視線と、ハンドルを握る逞しい腕から目が離せない。

もう、なにもかもカッコいいから困る……。

普段見ることのできない姿を、うっとりと眺めた。

「今日もかわいいね」

「……へ?」

不意打ちの甘い言葉が理解できない。

「その服装、よく似合っている」

樹先生がキョトンとする私を見て、クスッと笑った。

今日は夏を意識して、淡いブルーのノースリーブシャツに白のクロップドパンツをチョイスした。

いつも、さりげなく褒めてくれるからうれしい。

「ありがとうございます。樹先生もカッコいいです」

「そう? ありがとう」

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