独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「そのワンピース、華にとても似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます」
褒め言葉をサラリと口にした樹先生の長くて綺麗な指が、私の指の間にすべり込んできた。
初めて袖を通したワンピースを褒めてくれたことはうれしい。でも、なんの前触れもなく手に触れられるのは恥ずかしい。
戸惑いながらお互いの指が絡まる様子を見つめていると、新幹線が静かに動き出した。
車窓から見える景色が後方に流れていく。
「緊張するなっていうのは無理かもしれないけど、なにかあったら俺がフォローするから安心して」
「はい」
指に感じる体温と同じくらい温かい言葉を聞いたら、ざわついていた心がスッと落ち着いた。
シートに深く座り直して微笑み合う。サマージャケットを爽やかに着こなしている姿はとてもカッコいい。
普段は忙しい彼と一緒にいられる喜びに浸りつつ、他愛ない会話を交わして軽食と飲み物に口をつける。そんな贅沢なひとときを楽しんでいると、車内にアナウンスが流れた。