独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
私が落ち着くのを待っていたように、樹先生が姿勢を正した。
「それで結婚のことだけど、華さんのご両親にはすでに承諾をいただいています」
ついに、このときがきた……。
たった今お茶を飲んだばかりだと言うのに、もう喉がカラカラに乾き、心臓が早鐘を打ち始める。
でもここで怯んではいられない。結婚を認めてもらうために、金沢まで来たのだから……。
「樹せんせ……樹さんと温かい家庭を築きたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします」
深々と頭を下げた。
何度もシミュレーションしたのに、『樹先生』と言い間違えてしまったことが残念でならなかった。しかし、ご両親は私のミスなど気になっていないようだ。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「樹。華さん。おめでとう」
私たちをお祝いしてくれる、お父様とお母様の温かい言葉を聞き、緊張が徐々にほぐれていった。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
ふたりで一緒にお辞儀をしたら、胸が熱くなってしまった。
感動しつつ隣を見つめると、私の視線に気づいた樹先生が優しい笑みを浮かべてくれる。
長年思い続けてきた人と、本当に結婚できるんだ……。
ご両親に見守られ、夢のような幸せを噛みしめた。