独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
黄色いひまわりとオレンジ色のマリーゴールド、紫色のペチュニアのほかにも、白やブルーの花が咲いている。
「花の名前をちっとも覚えられないのが、私の悩みだよ」
お父様がハハハッと笑った。
樹先生によく似ている朗らかな笑顔を見ていたら、親近感が湧いてきた。
「あら、楽しそうね」
トレイを持ったお母様がリビングに戻ってくる。
「庭がとても綺麗だって、華が褒めてくれたよ」
樹先生が私のなにげないひと言を、お母様に伝えた。
「まあ、うれしいわ。ありがとう」
「いいえ」
お母様がニコリと微笑み、場が一気に和んだ。
ご両親と私の間に入り、さりげない気配りを見せてくれる樹先生はやはり頼りがいがある。
「暑いから冷たい緑茶にしました。どうぞ」
テーブルの上にグラスがコトンと置かれた。
氷が浮かぶ涼しげな緑茶を見たら、急に喉が乾いてきた。
新幹線とタクシー移動だったけれど、外はじっとしていても額に汗を掻いてしまうような暑さだし、今日は普段よりも緊張している。
目の前の緑茶をゴクゴクと飲み干したい衝動に駆られてしまった。けれど、それではあまりにもお行儀が悪すぎる。
「ありがとうございます。いただきます」
「どうぞ」
緑茶にゆっくりと口をつけた。
喉が潤い、ほっと息をつく。