アンバランスな愛情
私の抵抗は空しく

大河原さんに引き摺られるまま
車へと連れて行かれた

いったい何が起きたのか

私にはわからなくて

何で
探偵社の人が
私の前に現われて

どうして私の腕をつかむのか

瑛ちゃんのことで
話があるって

言うけど
それが真実なのか

嘘なのか

そんなこともわらかないまま

私は
大河原さんの車の助手席に放り込まれた

「それと
携帯の電源
落としてくれる?

どうせ
松川 瑛汰から
電話がかかってくるだろうから

君が
北門にいないって知ったら
驚いて
すぐに電話してくるよ」

「嫌です」

「…どうしても?」

「嫌です」

「わかったよ
じゃ、電話が鳴っても
出ない
そういう約束は?」

「嫌です
電話があれば
出ます

それで見ず知らずの人に
連れて行かれたと言います」

「そればまずいよ

君を追いかけたことを
谷山桜が知ったら

松川瑛汰の守りたいものが
崩れるよ?

それでもいいの?」

この人はいったい
何なの?

何で
こんなに
瑛ちゃんや私や
お姉ちゃんのことを
知っているのよ

おかしいよ

「わかりました
メールだけさせてください

一人で帰れるからと
小泉先生に知らせますから」

「それなら
俺も文句は言わないよ」

にっこり笑う大河原さんの顔は
冷たい表情をしていた
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