同期のあいつ

SIDE 鷹文

「なあ、本当にここなのか?」

守口の案内でやって来たのは都内のホテル。

「間違いないはずですが」

一華の携帯の位置情報を追跡したらこのホテルにたどり着いたらしい。
さあ、この先はどうしたものか。
ここは客室だって1000を超える。

「このホテルのどこにいるのかなんて、わかるのか?」
「大体のフロアくらいはわかりますが、完全に特定するのは無理ですね」

「じゃあ」

やっぱり一部屋ずつ聞いていくしかないのか。
まあ、俺はそれでもかまわない。
これが単純な一華の家出なら良いが、もし事件に巻き込まれているとしたらと考えただけで恐ろしい。

「まあ、任せてください。だてに浅井の秘書をやっていませんよ」

いかにも自身ありそうな守口。
一体何を考えているんだ。


俺は、守口に連れられホテルのフロントに向かった。

「あの、私こういうものですが支配人はいらっしゃいますか?」
言葉こそ優しいが、威圧的な態度。
フロントで応対に出たスタッフは一瞬名刺に目をやって
「申し訳ありません、本日は退社しております」
と頭を下げた。

「では、責任者の方を呼んでください」
「は、はい。少々お待ちください」

その間に守口もどこかに電話をしている。
5分ほど待って、

「大変お待たせいたしました。私マネージャーでございます」
40代くらいの男性が現れた。

「守口です。突然お邪魔して申し訳ない」
「いえ、本社の方が急用とのことで驚きました。先ほど支配人からも電話がありまして、すぐにこちらへ向かうとのことです」
「いや、それはわざわざすみません」

言いながら悪びれる様子がない。

「早速ですが、お願いしたものを見せていただけますか?」
「はい、こちらへ」
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