舞い踊る炎使い
「兄ちゃん。これからどうするの?」

襖が開き、陽太が入ってくる。俺は、寝転がったまま口を開いた。

「……実は、盗んだ犯人の目星は付いてるんだ」

「……誰?」

「同じクラスメイトの将宏(まさひろ)だ」

「何でそう思うの?」

「俺らは、チャイムが鳴る少し前に教室を出たが、その時はちゃんと髪飾りとブレスレットはあった。だけど、授業が終わってすぐに教室に戻ったら無くなっていた。ということは、授業中に盗まれたことになる。その授業の時、将宏は授業に出てなかったからな……普段は、ちゃんと受けてるが」

俺は、陽太に将宏のことを話す。

「ふぅん……話を聞く限りじゃ、問題児って訳でもなさそうじゃん。むしろ、真面目」

「……そうなんだけど、将宏と同じ中学校だった紡の話によると、将宏は過去に人をいじめたことがあるらしい。それは、紡の友達の話らしいけどな」

「いじめっ子ってやつか」

「そうだ。先生にバレて、親からも先生からもド叱られて、謹慎処分くらってから今の将宏になったらしい」

その話を聞いて、将宏が盗んだという可能性が出てきたんだよな。まぁ、定かじゃないが……。

「……とりあえず、俺は髪飾りとブレスレットを取り返すまで何も出来ねぇってことには、変わりないな」

棒状のものなら技を使えないことは無いが、自分がいつも使っている武器でしか、いつもの威力は出ない。

……早く取り返さないとな。
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