舞い踊る炎使い



「猛炎よ、舞い上がれ。火だるま―極(きょく)―!」

素早く斬り付けた悪霊たちが、一気に炎に包まれて消えていく。

火だるま―極―は、火だるまの上位互換版の技だ。1回しか使えない火だるまが、連続で使えるようになる技。

「わぁ……!かっこいい!!」

俺の様子を見て、煌矢が目を輝かせる。今、俺は煌矢の家で悪霊退治中。

え?家の中で技を放って大丈夫なのかって?

安心しろ。技は、悪霊以外には効果が無いようになってんだ!火事が起こる心配はねぇよ……って、俺は誰に向かって言ってんだ……。

もちろん、悪霊や俺、刀がぶつかったら、物とか壊れるけどな!

「……すごい……ありがとね!」

煌矢のお母さんは、満面の笑みを浮かべる。俺と煌矢は、顔を見合わせて思わず笑い合った。

「そう言えば、燐って強くなった?」

「……そうか?」

「うん。初めて、燐が火だるま―極―を出した時よりも動きが軽やかだったから……そうだ。もう一回だけ、言わせて!燐、かっこいい!!」

煌矢にそう言われ、俺の頬は熱くなるばかりだった。
< 5 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop