舞い踊る炎使い
俺が首を傾げると、紡は「その絆創膏……大丈夫?」と心配そうな顔をする。

「大丈夫だ。心配するな」

俺が微笑むと、紡は「そっか。分かった」と微笑んで、別の場所に行った。

「燐、おはよう」

煌矢が、俺に話しかけてくる。煌矢は、俺が頬に貼っている絆創膏で、遅刻した理由を察したのか、何も聞いてこない。

「おはよう。あれから、家の様子はどうだ?」

俺が煌矢に問いかけると、煌矢は「問題なし!」とニカッと笑った。

「そうか……」

とりあえず、一安心だ……。



俺は、いつも通りに下校する。その時、悪霊の気配が近くからした。自然と体が動く。

「……っ!」

辿った先で、悪霊が見覚えのある人物を襲おうとしていた。……あれは、紡……?

紡は、悪霊をしっかりと捉え、体を震わせている。

「……」

俺は、素早くブレスレットと髪飾りを取り出し、刀と羽織に変えて、悪霊と紡の間に入った。

「……大丈夫か?紡」

「……え?不知火……?」

後ろで、紡が呟く。その言葉に、悪霊が反応した。

「……不知火、だと?」

「そうだが……?」

「そうか……それは、面白い!」

悪霊は、ニヤリと笑う。俺は、表情を変えずに刀を構えた。
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