舞い踊る炎使い
「炎よ、怒り狂え。爆裂斬(ばくれつざん)」

俺は、火だるまの時よりも速いスピードで悪霊に近づき、刀を振り上げて悪霊を斬る。素早くその場から飛び退いた瞬間、炎の爆発が起こった。

「……」

俺は、刀と羽織を同時にアクセサリーに戻して、カバンにしまう。

「……不知火?」

「……出来れば、燐と呼んでくれ」

俺は、紡の方を振り返りながら微笑んだ。紡は、目を見開いて俺を見つめる。

「説明は、俺ん家でする。色々と聞きたいことがあるしな。紡、大丈夫か?」

紡は、訳が分からない、と言いたげな顔をしながら頷いた。



「なるほどな……」

紡と向かい合って座り、俺の能力などの話をした後に、紡の話を聞いていた。隣には、陽太がいる。

紡は幼い頃から霊感が強く、小学生の時、周りの人から「気持ち悪い」などと言われ、いじめられていたそう。

「……そう言えば、煌矢にも……俺以外、誰も近づかなかったな……」

小学生低学年の頃のことを思い出し、ボソリと呟いた。

「え……?朝吹?」

「そうそう。煌矢には、『もし、霊感が強い人がいたら、俺のことは話していい』って言われたから話すけどな……煌矢も霊感が強いんだ」

「え……?」

「しかも、煌矢の家族全員がな。だから、俺は煌矢の家族全員には、俺のことを全て話してある。良く煌矢ん家には、悪霊を倒しに行くな」
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