二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 日暮れ時の、まだ明かりを灯していない部屋の中は薄暗く、しんと静まりかえっている。

 靭也が辺りをうかがうような素振りで、テーブルの前に立っている。

 声をかけてはいけない雰囲気だった。

 夏瑛はなんだか気になって、薄目を開けて靭也の様子を見ていた。

 靭也は夏瑛が寝ていると思っているようだ。

 そして、意を決したように、貴子のコーヒーカップを持ちあげ、その淵に愛おしそうに唇を触れ、中身をごくっと飲みほした。

 その瞬間、夏瑛は靭也が『ロリータ』のハンバートのような嗜好の持ち主ではないことを悟った。

 少し光が射しかけていた夏瑛の心は一気に暗転した。

 夏瑛の淡い初恋はあっけなく幕を閉じた。


 叔母に、貴子に勝てるわけがない。
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