二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
第2章

高校2年、夏

 だが、五年たって高校二年生になっても、夏瑛(かえ)の靭也|《ゆきや》にたいする思いはくすぶりつづけていた。

 中学でも高校でも、付きあってほしいと告白してくる男子は何人かいたが、すべて断った。

 靭也以上の男子など到底あらわれるはずもなかった。

 靭也は卒業後も大学に残って研究室の助手を務めていたので、あの家にもひんぱんに顔を出していた。

 高校生になった夏瑛は、何かと忙しく叔父の家に行くこともめっきり少なくなっていたが、たまに顔を出すと靭也がいることがあった。

 靭也はいつも夏瑛に優しい。

 顔を合わせてしまうと、忘れることも、かといって、心の内を打ち明けることもできずに、夏瑛の心は宙ぶらりんのまま、どっちつかずのままだった。

 それに貴子と靭也も以前と全く変わらなかった。

 靭也は貴子を、自分の恩師であり、今は上司でもある叔父の妻として節度のある態度で接している。

 夏瑛はどうしてもそこに一縷【いちる】の望みを抱いてしまうのだった。
< 21 / 58 >

この作品をシェア

pagetop