真由どうした？ 俺の彼女の様子が変だ！

　日比野雪菜を俺は『日比野嬢』とか『お嬢』と呼んでいる。
　新島さんとは違っておしとやかじゃないけど、彼女は良家のお嬢さまなのだ。
　だから俺、親しみを込めて『…嬢』って呼んでいる。

「オーバーかなー？」

「オーバーだよ」

　俺は苦笑いするだけだ。
　久保が俺に話しかけて来る。

「んな事よりも、とにかく教えて」と久保。

「ええーっと」

　教えてと言われても俺だって分からない。

　ここ最近、真由は俺を無視するようになったのだけれど理由は全く分からないのだ。

　授業中でも無視する状態で、まるで黒沢真由の眼中には俺の存在がないに等しい状態になっていた。
　久保、日比野嬢、浦本、新島香織さんを初め女子たち、高尾や木村、中井たちとはフツーに接しているのに何故か、俺にだけは目さえも合わせないって言う状態が続いているのだ。