金の乙女は笑わない

謁見の間では王女が淡々と謝罪の言葉を述べている。


「申し訳ございませんでした……」


それというのも、アイリスの父であるトロイア国王がフィルタイトに戦争を仕掛け、攻め入ってきたのだ。

前皇帝の時代から友好関係にあった国に、攻め込まれ驚いたが軍事力の差は歴然だった。現在の皇帝であるアランの軍事力、指導力は他国のそれより、抜きに出ている。軍事や政治に関してアランは天才的だった。

トロイア国とフィルタイト帝国の間で戦争が始まり、3日とかからず決着はつき現在に至る。

しかし、トロイアはここにきて、なぜフィルタイトを敵に回す様なまねをしてきたのか?

まったくわからない。

今、騎士団長でもあるラルフレッド・アローズに調べさせているが、裏でどこかの国と繋がっているのか、それとも他に黒幕がいるのか今の段階ではわからない。

トロイア国は今回、第一王女であるアイリスを人質として差し出す代わりに、もう一度友好関係を元に戻したいなどと、虫の良いことを言ってきた。その話に、アランはイラつきトロイアからの書状をたたきつけたこともあったが、他国との均衡を保つため、しかたなく了解したのだった。



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