金の乙女は笑わない

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陛下に頭を下げると、侍女について謁見の間を後にした。

侍女達の後について長い廊下を歩いて行くと「こちらがアイリス様のお部屋になります」と、一人の侍女が部屋の戸を開けた。

そこには人質としてここへやって来たのに、広々とした部屋の中はかわいらしいデザインのソファーやタンスがあり、快適に過ごせるようになっている。

あまりにも豪華な部屋のため躊躇《ちゅうちょ》していると「アイリス様中へどうぞ」と促されるが、足が前に動かない。

「お部屋が気に入りませんか?」

侍女が怪訝な顔をしている。

「いいえ、申し訳ありませんが私は人質ですので、小さな部屋で大丈夫です。部屋を変えていただけませんか?」

アイリスの言葉に侍女たちは顔をも見合わせ驚いていたが、年配の侍女が現れて「皇帝の指示ですので従ってください。」と言われてしまった。

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