となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
 広瀬社長!

 ようやく自分が知らない部屋のベッドに上にいる事に気づいた。咄嗟に自分の姿を確認する。
 ワンピースのままで、タイツも履いている事にほっと胸を撫でおろした。


 なぜ、こんな状況になっているのか? 一瞬にして、昨夜の事が蘇ってくる。広瀬社長と食事をして、BARのカウンターに座った事までは覚えているが、その後の記憶がない。


 すると、寝ている広瀬社長が寝がえりを打った。

 やばい! 起きた!

 と思ったが、広瀬社長はまた、スースと寝息を立て始めた。


 どうしよう?
 こんな経験はじめてだ……

 そーっと、ベットから降りあたりを見回す。部屋の様子からホテルでは無い事はわかる。椅子の上に、自分のコートとバッグを見つけた。

 このまま、広瀬社長が起きるのを待つべきなのか? それとも起こして、帰る事を伝えるべきか?
 嫌だ! 顔なんて合わせられない!


 慌ててコートとバックを手にすると、静かに部屋のドアを開けた。

 
 私は、逃げる事を決めた!
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