となりに座らないで!~優しいバレンタイン~
 一也は言った通り、帰りの遅い日が続いていた。日付が変わるころまでは起きて待っているのだが、帰って来なくて寝てしまう事も多かった。

 朝起きれば、隣に一也の顔がある。ギリギリまで寝かしておりて、必死で起こす。
 朝ご飯くらいはと、気を使ってバランスの良いものを用意する。美味しと食べてくれるが、日に日に機嫌が悪くなってくる気がする。

 よほど忙しいんだろう……




 一也と夕食を食べられなくなって一週間。いつまで続くのだろうと思っていた朝。


 朝食を食べ始めた一也が、まだ疲れが取れていない顔を私に向けた。


「来週から、アメリカに出張になる」


「ええーーー」

 驚いて、思わず声を上げてしまった。でも、すぐさま反省する。仕事だから仕方ないのだと……


「うん。どのくらい?」

 
「二週間はかかると思う」


 二週間も一人か? 寂しいなー


「そう…… 気を付けてね」


「ああ……」


 なんだかこれじゃ、愛の冷めた夫婦じゃないか……
 何がいけないんだろう?
 これでも、寂しいのを我慢しているのに……


 こんなままじゃ、やっぱり寂しくて、一生懸命に笑顔を作った。




 
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