世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




私の上に跨っていた男は倒されて、ゆっくり目を開けると確かに目の前に詩優の姿があった。




「…詩優っ」




周りにいる男たちをすごい早さで倒していくと、私の手を取って起き上がらせてくれる。

私は慌てて落ちているスタンガンと催涙スプレーを拾った。




「こっち」




手をひいて、走り出す詩優。




…明日葉と壮くんは!?

足を動かしながら2人がいた方へと目を向けると、明日葉と壮くんが背中合わせで戦っていた。




…怪我はなさそう。
…良かった。




「待ちやがれ!!!!!!」




後ろからは追ってくる男たち。
私はひたすら後ろに向けて催涙スプレーを噴射しながら走る。



こういう非常事態の時だけでも早く走れるようになればいいのに…。
そう祈っても私の足は遅いまま。




詩優は前方から殴りかかってくる男たちの拳を避けて、脇腹に拳を入れて。
止まることなく倉庫の扉に向けて走り続ける。



< 522 / 839 >

この作品をシェア

pagetop