世界No.1の総長と一輪の花Ⅲ




なんでここにいるの。
詩優に何を言ってるの。
今さらなんの用があるの。




そう思っても体は動かない。
声も出ない。




ただ、体を震わせながら見ているだけ。




嫌でも昔の記憶がよみがえる。
暴力を振るわれ続けていたあの日々。




私は泣いて、俊が言ったことに従うことしかできなくて……。
詩優が助けてくれるまで、怯えて生きていた。




…私は昔とは違う。
今は詩優がいて、みんながいて。




もう、あの地獄の日々に戻ることはない。
私だって変わったんだ。




詩優みたいに強くはないけど、私だって少しは成長したと思う。




変わったんだ。
変わったのに…。

なんで体は凍りついたかのように動かないんだろう。















「花莉、行こ」




その場に立ち尽くしていたら、突然上から降ってきた声。

ぱっと顔を上げると、すぐ目の前には詩優がいて。私の手に温かい手が触れて、強く引かれた。





その温かさで彼につられるように体は動いて、早足でこの場を去ろうとする詩優。




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