蘭蝶 短編集
そそくさと幹部室から出て行ってしまった二人の背中を見つめる



残されたのは私と陣の二人だけ。気まずい沈黙が幹部室に続く



「あのさ」



『……え』



まさか、陣の方が先に口を開くと思っていなかった私は驚いて陣の方を凝視してしまった



「なんだよ」



私の視線に気づいたのか気まずそうに私を見てくる



『…、いや』



「あっそ…」



さっきはなにかを言いかけていたのにタイミングを逃してしまったせいでなにも言わなくなってしまった陣



「さっきの、………すごかった」



暫く見ていると視線に耐えきれなくなったのか陣が私を見ずに言う



『え?さっきの?』



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