蘭蝶 短編集
だが、中々手を取らない女。



まぁ、そうだよな。さっきまで襲われてたんだから。



取り敢えず自分が来てたパーカーを脱ぎ女に着せる



下着姿では寒いし、このまま帰す訳にもいかないし。



「……ぁ」



震えた小さい声が聞こえるが震えたままの女



『なんも言わなくていい。落ち着くまでここに居るから。な?』



声が出ないらしい女は俺の服の裾を震える手でちょこんと掴んだ



何十分そこにいたのかは分からない。



「…あの、」



女の方から声を掛けられはっとした



「…ありがとうございました」



『別に。もう平気か?』


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