蘭蝶 短編集
『歩けるか?』



女を降ろした時始めて女の顔を見た



泣いて赤くなった目すっとした鼻筋、桜色こふっくらとした唇、少しウェーブがかったブラウンの髪



うわ、可愛い…。



普段、美玲を見慣れている為街を歩いてても余程の事がない限り可愛いと思いない俺が可愛いと思うんだから相当だと思う。



「は、はい。お世話かけてしまってすみません…。あの、良かったら名前教えて頂けませんか…?お礼をしたいんです」



『…礼なんか要らねぇよ』



「いや、でも、最後までご迷惑おかけしたのでそういう訳にもいきません。」



さっきまであんだけ震えてた女とは思えない程強い意志にちょっと驚きつつ



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