あなただけ見つめてる

「さーむーいー」

この寒さの中、あたし、佐久間美緒
現在、家出中です

何でかって?
そりゃ、アイツがいけないんだもん。

そりゃ、あたしだって、我慢して我慢して
我慢しまくったのに、
なのに、他の女とは、デートに行けちゃうんだもん

「はぁ・・・」

家に帰れば、きっとあいつがいるんだろうなぁ
少し歩けば、街中は、クリスマス一色

「キレー」

「”美緒っ”」

・・・っ
「”ずっと一緒に居てくれよな”」

そう言ったのは、あんたじゃん。
なのに、なんで、
今、あたしは、ここで1人で
クリスマスツリーを見てるんだろう・・・

「虚しくなっちゃうから、違うところに行こ」

別の場所に行っても、きっと
行く場所なんてなくて
最悪、ビジネスホテルにでも、泊まるしかないかな

親もいない。
友達もいない
仕事をしているわけでもないから、頼れる人もいない

「??美緒様?」

「!?」

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