あなただけ見つめてる

「不安だったら、優香でも俺でも言ってこい」

そう言ってくれたお父さんは優しくて

「婿の話だって、どうしたらそうなるのか
俺にはさっぱりだったがな。まさか家のことを
考えていたとは思わなかった」

「そうなの?うちは女ばかりだったし」

「さっきも言ったけどな?
俺たちは、養子をとったって構わねぇし
あと1人くらい俺たちも頑張ればできるだろうけどな?
孫と、同じ年の子供なんて嫌だろ?」

そうだけど・・・

「宙。夕陽今からこっちにくるって」

「は?」

どういう事?
出産には、まだ早いはず・・・

「颯君。仕事のことでごたついてて、
しばらく帰れないからって」

「しょうがねぇな」

そう言って車のキーを持ったお父さん

「迎えに行ってくるから。夕陽に伝えておけ
動くなよって」

「わかった」

私もこんな夫婦になれるかな?

そのまま出て行ったお父さん

「全く。心配性なんだから」

え?

「宙はね。誰よりも2人の心配してくれてるのよ。
だから、アナウンサーではなくて
こっちに別会社まで立てたんだから」

そういえば、アナウンサーだったお父さんを見て
男の人を初めて”かっこいい”って小さいながらに見てた記憶がある

「愛も、雪も、桜もみんないい子に育ってくれてる。
何も、夕陽や夕葉が気負わなくても、大丈夫なのよ」

「そっか」

「たっだいまー」

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