もっと泣かせて愛したい。【書籍タイトル:一途なイケメン幼なじみは、愛が重すぎる溺愛男子でした。】
俺の言うこと絶対なんで
「紗英。和原くんと付き合ってるの。本気?」
朝、登校したばかりの教室で。
さっきまで昨日見たドラマの話をしてたはずなのに、突然声を落とした彩心がそんなことを聞いてきた。
「…実は」
彩心には正直に話した。
実は京星くんには、ハヅキの前で彼氏のフリをしてもらっていること。
「…そんなことだろうとは思ってたけど」
渋い顔をする彩心。
「何もそんなことしなくても…ほんとバカだねぇ、紗英って」
「だ、だって!それしか思いつかなかったんだもん…」
「よく考えな?」
彩心がまっすぐに私を見る。
「そんな内部事情周りは知らない。ハヅキくんを取り巻く環境がどうなのか」
「ハヅキを取り巻く…カンキョー?」
そこでチャイムが鳴り、会話は打ち切りになってしまった。
ハヅキを取り巻く環境って…何?
「…おい和原。和原!朝だぞオハヨウ!!」
一時間目は古文の授業。
隣では、今日も健やかに京星くんが眠っている。