キミ観察日記
 トイレから出てきた少女と部屋に戻ると、与一はふと部屋にあるものを見つけた。

「これ、お前のか」

 薄紫のランドセルをあけ、中を確認する。

「懐かしいな。国語の教科書(上)に、計算ドリル」

 少女は、ぼんやりと与一のとなりでランドセルとその中身を眺めている。

「こっちは、算数セットだろ。ピアニカに絵の具セットもある。そのうち習字や裁縫セットなんかも揃えてくことになるが。思えばいろんなものを使っていたんだよな。そんなことも忘れてしまっていたが」
「……すごい」
「どうした?」
「これ、なに」
「なにって……お前の荷物だろ」
「わたしに?」
「は?」

 そのとき、与一の携帯に一通のメッセージが届いた。
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