敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~
しかも、急に出ていくなどと言うから、本性を現して強引に引き止めようとしてしまった。今度こそ本当に怖がらせただろう。

なぜ彼女の態度が変わったのか。思い当たることと言えば──。

まだ参加人数の半分ほどしか集まっていないレストランの、カウンター席で頼んだビールを待ちながら考えを巡らせていたときだ。

元クラスメイトたちのざわめきが大きくなり、誰かがやってきたことがわかる。

そちらにちらりと目をやると、黒のライダースジャケットにロングスカート姿の女性が、明るく皆に手を振っている。

自由奔放な料理研究家、七岡慧子だ。

実は彼女も同級生。学生時代は典型的なヤンキー女であり、彼女も同じく過去を隠して生きている。にもかかわらず、俺と知り合いであることはまったく隠そうとしていないが。

この間、俺たちがTOBARIに行く日にちと合わせてきたのも、単純に俺や烏丸とランチを楽しみたかったからだろう。

そう、花乃の様子がおかしくなったのはこのあとからだ。自惚れでなければ、慧子との関係を疑われていると考えるのが自然かもしれない。

恨めしげに彼女を眺めていると、俺に気づいて笑顔で近づいてくる。
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