触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「そっか、普通に同じ高校に通ってるだけの関係性ならってことだよね…」




「うん……きっと俺からは何も言えないでただ見つめてるだけなんだろうなって…そんな根性ないだろうし」




「えぇ!?そうなの!?そんなの寂しいじゃん」




「無理だよ、1年生が3年生に声かけるとかめちゃくちゃ勇気いるんだぞ」




「えぇ〜切ない……ただの先輩後輩の関係だけ!?」




「さっき1年生からも声かけられてただろ?俺はあれになれてたかって思ったらきっとそうじゃないだろうな、遠くからでしか見れない」




「今じゃ野獣なくせに…」




「そ、それは…付き合えてるからだろ」




急に声が小さくなる。
どこで誰に聞かれてるかわかんないし。




「ふーん……じゃあすれ違って終わり?話すこともなく卒業してって終わりなんだ?」




「………多分」




「私が他の人と付き合っても何も出来ないまま?」




「いや、それは…っ!」




うぅ……否定出来ない。
あれ?何でこんな空気になってるんだ?
俺ってバカなの?




「だってその話の流れからして、そうなったとしても指咥えて見てるだけなんでしょ?」




「いや、何となくそう思って浸っちゃっただけ」




「ふーん」




わわ、怒らせた…!?
言わなきゃ良かった、こんな話。
卒業式の感動ぶち壊しだよ。




慌てて話題変えようとしても「ふーん」ばっかで変な汗が出てくる。
2人の足は駅に差し掛かっていて、何とか機嫌を取ろうと必死に呼びかける俺とスタスタ歩く奈那。




その足を止めたのは俺でもなく、見知らぬ他校の男子生徒。




「あの、末永奈那さん…だよね?」




「え、はい…」




誰だよ、こいつ。
馴れ馴れしく話しかけてきやがって。
勝手に名乗って勝手にファンとか言ってるけど、どういう神経?
挙げ句の果てに「写真撮って」とか図々しいだろ。




「や、写真はちょっと…」




奈那も断ったけど俺の身体も間に入って盾になった。




「悪いけど俺のだから手出さないでくれる?」




写真なんか撮らせるか。
SNSに勝手に投稿すんだろ?気持ち悪い。
何か謝ってた気がするけど「行くぞ」と連れ去った。







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