触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
パジャマのボタンを最後まで留めてあげる。
「じゃあ、早速……」
パーカーを引き寄せられて踵を上げた奈那からのキス。
それはちょっとしたおねだりでもあって……もう瞳でわかる。
“次はもっと…”ていうキス。
「あ……でも奈那、それしちゃうと…」
キスだけで終わる自信ない……
「え、じゃあ私が証明するたびにヒロ、我慢出来なくなっちゃうの?私、迂闊に証明出来ない…」
「いや、そうじゃない…!そんなことないから!だ、大丈夫…」
そうだよな、気をつけなきゃ全部に反応しちまうぞ。
再びパーカーを引き寄せられる。
ゆっくり近付いて……重なる唇。
嗜むように絡ませる。
控えめにするつもりでも……
奈那は簡単に許してくれない。
こんな時のキスは最強になる。
奈那が主導になれば一瞬で腑抜けに。
キスが……上手すぎる。
最初の頃はちゃんと息してねって言われたな……
すぐ反応してたけど今は……少し我慢出来るように。
ほんの少しだけど。
ピクッと反応しかけたところで唇は離れた。
「この辺でやめとく…」
恥ずかしそうにそう言ってまだ欲しがる俺の唇を親指でなぞる。
起きたら困るし…ってそうだった…!!
ここ、奈那たちの部屋だって忘れてた。
じゃあ行くね、と抜き足差し足…でドアまで歩く。
小さく「おやすみ」と手を振ってくれる奈那。
何か……これって………
耳元でお願いしたら「?」な顔したけど笑顔でやってくれたよ。
「行ってらっしゃい」ってまた手を振る。
新婚さんみたいだな…と思ってついお願いしちゃった。
「何これ…」って照れてる顔もキュンときてやっぱり抱きしめちゃう。
壁につけて最後の最後までキスしたくなる俺を許してね…?
まだ欲しくて深くなる。
「ヒロ……もうダメ」
「うん……行くね…?おやすみ」
これでグッスリ寝れるかも。
触れ合わなければ落ち着かないなんて……
かなりの重症だな。
今は……今だけは見逃して……?
まだこの身体に残ってる温もりを噛みしめていたい……