触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「綺麗に生んでくれた涼子さんに感謝しろ!!」
「わ、わかったよ…!お願いだから綺麗にセットして」
ブラシでときながら丁寧に乾かしていく。
終わればすぐ脱衣所に逃げた。
「ありがとー」の言葉に薄く反応して。
ハァ………線引きがわからねぇ。
絶対俺ばっか意識してるよな?
家でも振り回されんのかよ。
お風呂も終わり、部屋で勉強しても全然集中出来ない。
もう寝る!と部屋から出たら同時に奈那も出て来た。
ハッとお互い察知して急ぎ足で階段を下りていく。
「ちょっ…!今日は私が先っ!」
「たまには譲れよ…!」
ドタバタと足音を鳴らし一緒に入ったのは洗面所。
本当、程度の低い争い。
どっちが先に歯を磨くかなんて小学生か。
一緒に暮らしてると段々ペースが似てくる。
寝ようと思うタイミングが被るとか日常茶飯事だ。
トイレの次くらいにね。
先に入った方が先に磨けるっていう謎のルールまであるし。
でも同時に入った時だけ仕方なく一緒に磨くってな。
ブレまくりの家族間ルール。
「よっしゃ、同時〜!」
「あ〜ムカつく、私の方が部屋から距離近いのに…」
こういう細かいところで全力でぶつかってくるとこ結構好き。
一緒に磨きたいんだよ。
ちょっと手加減して同時に入ったのわかれよ。
また俺だけモヤモヤしながら寝るんだろうけど、もう慣れたわ。
先に磨き終わって「おやすみ」と言った。
出ようとしたらTシャツの裾を摘んで引き止められる。
ちょっと待って……そういうのたまにサラッとしてくるけどめちゃくちゃ心臓に悪いから止めてほしい。
奈那も磨き終わって洗面台の前で向かい合うように立たされた。
鏡に背を向けてる奈那は俺を見上げてる。
え、なに!?ここ狭いんだけど!?
真っすぐ見すぎでしょ。