触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
自分でもよくわからない。
この手を引いて俺は何をしようとしてるんだ。
考えがまとまらないまま感情だけが先走ってしまう。
今までにない独占欲を露わにして、傷つけてしまうのか……?
鍵の壊れたドアを開けた。
本棚に勢いよく奈那の背中をぶつける。
頭に登った血は冷静さを失う。
「痛っ…」
「あの人と付き合うの!?」
「え?」
「ちゃんと答えろよ…!」
「……付き合わない」
「だったら何ではっきり断らないんだ!アレじゃとことんつけ上がるだけだろ!?」
「ヒロ、痛いよ…」
細い左腕を鷲掴みしちゃってる。
引っ込みようがなくてもう片方の腕も掴んでしまう。
これは何の怒りなのか、溢れる言葉すら止める術がない。
傷つけないよう必死で抑えながら目も見ず俯いて言った。
「いい加減気付けよ……お前、めちゃくちゃ綺麗で…可愛くて…笑うとそこだけ明るくなって……触れると華奢で壊れてしまいそうになる……それに」
「ヒロ?もういいよ……褒め過ぎ」
お前が真っ赤になってどうすんだよ、
言ってる俺が一番恥ずかしいんだよ…!
「とにかく、モテてんの自覚あるだろ?その気がないならきちんと断われ!曖昧な態度が一番傷つくんだぞ?」
勝手に容易く抱きしめられてんじゃねぇよ。
ま、まさか……
「ああいうの今回が初めて?他にもあんなふうにされたりするの!?」
「ヒロ、痛いってば」
「答えて…!」
「どうしたの!?ヒロ……」
どうかしてるなんてとっくにわかってんだよ!
頼むからそんな目で見るなよ……
「ごめん……俺に言われたかねぇよな」