触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
二人の楽しげな笑い声が聞こえる。
少しだけ……少しだけ見てみる?
壁に隠れてタイミングを待つ。
確かに、二人だけだよな?
チラッと確認するだけのつもりがその場で動けなくなるくらいの衝撃を受けた。
え…!?
一緒に居た男が奈那を後ろから抱き寄せてやがる。
何で抵抗してないの……!?
「やっぱ奈那ちゃん最高だわ、お願い、俺のこと彼氏にして?絶対幸せにするから」
「え〜?どうしようかな〜?」
「お願いお願いお願い…!!」
「本当いつも、相変わらず強引だよね?」ってそこ笑うとこじゃないから。
早く振り解けよ…!
「OKしてくれなきゃ離れない…!」
「……じゃあさ、本気で考えるからちょっと時間ちょうだい?」
「え〜!今まで散々時間あったでしょ?結構な時間アピってたんだけど?」
「ごめんごめん、細川くんモテるから冗談だと思ってた」
「うわ、ひでーなぁ……めちゃくちゃ勇気振り絞ってたのに」
あ、やっと身体離れた。
でも顔が近いぞ。
え……?ほっぺつねるとかアウトだろ…!
ラブラブな時にするやつじゃんか。
「ごめんね?ちゃんと考えるからもう少し待って…?」
「うん、わかった……可能性信じていいよね?」
「エヘヘ……今はまだヒミツ」
「ヤバっ、奈那ちゃん可愛すぎ…!」
「アハハ、知ってる」
「うわ、あざとい……そこも好きだけど。じゃあまたね!待ってるね!」
とっさに身を隠した。
男が去った後。
時間をずらして立ち去った奈那を
誰も居ない廊下で強引に腕を引っ張った。
「えっ!?ヒロ!?」
無言で連れ去る俺に何も言わない奈那。
時間的に使われていない図書室に自然と足は向いていた。