触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
逃げ場がないと目を合わせる。
一緒に居るところを変に誤解されたら面倒くさい。
それはお互いが一番よくわかってる。
でもこの状況をどうすれば!?
足音が近付いてくる…!
「絶対後ろ振り向かないで」
奈那はそう言うと向かい合わせになり素早く俺の上に乗ってきた。
心臓がドクン…!と跳ね上がる。
髪をワシャワシャされて思いきり乱されたら、自分のブレザーを剥ぎ、ブラウスのボタンを少しだけ外してブラ紐まで見せた。
「ちょ、何して…」
「だから喋んないでってば…」
近付いてくる足音を気にも止めない様子で俺のブレザーも剥いだ。
首に手を回し顔を近付け、あたかもキスしてるふうに見せかける。
「末永さ……ん………!?」
もう1ミリ単位で唇が触れる…!
完全に足音が止まって、見られた状態で行為に及んでいるフリ。
耳から首筋に奈那の唇が…!
これは経験のない俺には拷問過ぎる…!
奈那が彼らに気付いたフリをしたから、
動きが止まると余計不自然だろうと思い、俺からも奈那を抱き寄せた。
背中に手を回し首筋に唇を這わす。
これは、演技だからっ…!!
でもこれで精一杯…!!
“シーッ”と人差し指で静かに去るよう促したのか、彼らは黙って去って行った。
少しの沈黙の後。
「フゥ、危なかった…」
膝の上から離れて隣に並ぶ。
「すごい間抜けな顔してた〜」と笑うからすかさずはだけていたブラウスを整えるよう「ボタン止めろよ」と見ずに言った。
自分も脱がされたブレザーを着直す。
ヤバい……反応してしまってる……
こっち見るな。
あんな急に意識飛ぶようなことすんじゃねぇよ。
奈那の匂いと吐息に一瞬理性がぶっ飛びそうになった。